湿気 | long island sound

湿気


5.13.05

たまに「風の歌を聴け」を手に取ってぱらぱらめくり、適当なページを選んで読んでみる。そしていつも同じところで涙する。何故泣くのか、その理由がよく分からない。ただ泣きたいだけで、あるページを合図に反射的に涙腺が緩んでしまうかもしれない。あるいは下手な日本語で内容がちゃんと理解できていないかもしれない。分からない。俺はよく泣くのだから、その理由をいちいち気にしていられない。忙しい人生だ。


この間「街」を見つけたんだ。実際に存在する街なんだ。ジェイズ・バーだってある。海も防波堤もある。あそこがとても気持ちが良くて、気候も俺の好みだ。できればもっとあそこにいたかった。でもそれが「街」だということに気付いたのは少し遅すぎた。それに俺も俺なりにやることがあったから、あそこには長くいられなかった。そして今は東京にいる。やることもまだ残っている。冷蔵庫の電源を切らなきゃいけないし、ガス栓を閉めなきゃいけない。簡単には手が話せない。忙しい人生だ。


あそこに留学するのも悪くないかもしれない。綺麗に日焼けして四年を過ごすのだ。ハードな修行をしたり海岸沿いの道を散歩したり、そして週に一回ぐらいジェイに会って話をする。バーカウンターで美味しいお酒を飲みながら本を読む。夢のような話だ。試験が終わったらそれについてゆっくりと考えてみよう。